みなさんは、建物には「鉄骨造(てっこつぞう)」があることはご存じでしょうか?
基本建物は、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造の4つの工法で建てられています。
では、鉄骨造とは一体どんなものなのでしょうか。
今回は鉄骨造とは一体どんなものか 鉄骨造の3つの工法とは についてくわしくご紹介します。
鉄骨造とは一体なにか?
みなさんは、鉄骨造とはどんなものと思いますか?
鉄骨造を一言でいうと「梁(はり)・柱のような主要な構造体を鉄材、または鋼材で造られている建物」のことです。
ただし、一般的に鉄骨造のほとんどは、鋼材で造られています。
鉄骨造を建てる3つの工法!
鉄骨造は、主に次の3つの工法で建てられています。
その3つとは「ブレース工法」「ラーメン工法」「トラス工法」です。
この3つの工法は、鉄骨材を構造体として使いながらも、鉄骨の組み方にそれぞれ特徴があります。
次の章からそれぞれご紹介します。
①ブレース工法とは?
ブレース工法を一言でいうと「ブレースという筋交(すじかい)を、梁と柱の間に組み込んで建てる工法」のことです。
筋交とは、一般的に木造建築などで、柱と柱の間に斜めに入れられている、対震用の補強材のことです。
またブレース工法は、別名「鉄骨軸組工法」ともいわれています。
「鉄骨軸組工法」は、木造建築で採用されている「在来軸組み工法(在来工法)」が由来になっています。
ブレース工法の特徴は、鉄骨材で組まれた梁と柱の間に「X型ブレース」が組み込まれていることです。X型ブレースが搭載されたことで、対震用の補強材として建物の強度を高めてくれます。
ブレース工法は主に低層階の鉄骨造でよく採用されています。
またその他にも鉄骨ブレースは、鉄筋コンクリート造の建物の、耐震補強にも利用されています。
補強用の鉄骨ブレースには多くのタイプがあり、建物の内側・外側のどちらからでも施行することができます。
②ラーメン工法とは?
ラーメン工法を一言でいうと「枠組み工法」のことになります。
ラーメン工法のラーメンとは、ドイツ語の「Rahmen(額縁)」が由来です。
ラーメン工法のポイントは、建物の骨組みである柱や梁の接合部(つなぎ目)を、溶接(剛接合)することです。
そして、一つの強靭な「枠(わく)」として一体化し、建物を組み立てるという工法です。
ラーメン工法は主に中高層階の鉄骨造の建物に採用されています。
またラーメン工法の中には、接合部の溶接をなくし、高力ボルト接合の建物もあります。
理由は、溶接を施工現場で行うことで精度が不安定になることや、自然災害が起こった時には急激に機能が低減するからです。
➂トラス工法とは?
トラス工法を一言でいうと「三角形を基本単位にして、その三角形を集合体にすることで、強度を高める工法」のことになります。
トラス工法は、構造体に必ず「三角形」が使われており、一目瞭然で見分けることができます。
一般的に部材の接点は「ピン接合」とされています。ちなみに、ピン接合とは自由に回転する支点のことです。
ただし、実際は純粋なピン接合よりも、接点を剛接合でつなげられていることが多いといわれています。
トラス工法は主に橋やドームなどに採用されています。
またトラス工法の中には、次のような様々な工法があります。
❶ワーレントラス(ウォーレントラス)
ワーレントラスとは、横から見るとギザギザの形をした三角形が並んでいるように見える工法です。
昔の橋に採用されていました。ワーレントラスがトラス工法の基本です。
❷プラットトラス
プラットトラスとは、横から見ると斜材が「逆ハの字型」に見える工法です。
❸ハウトラス
ハウトラスとは、横から見ると斜材が「ハの字型」に見える工法です。
また、その他にもトラス工法は無数にあります。
S造とは?
鉄骨造は、構造名を「S造(エスぞう)」といいます。
正式には「Steel framed structure」が略されたものです。また「steel framed construction」とも呼ばれています。
鉄骨造の大きな特徴は、木造に比べて強度が強く、鉄筋コンクリート造に比べて軽いことから、柱と柱の間のスパンを長くとることができ、広い空間を造れるという特徴があります。